8月26日に日経新聞の記事に

認知症患者資産200兆円に・・

との記事があった。
高齢化の進展で認知症患者が保有する金融資産が増え続けている。

現状の日本は高齢層の金融資産保有比率が高い。

世界でも類を見ない現象である。

高度経済成長期の蓄えや、それ以降の勤労や投資などで蓄えられた資産が、

貯蓄を優先する国民意識とデフレの通貨価値の高まりのため

そのまま預金になっているのが我が国の高齢者資産状況の一側面である。

欧米よりも食生活が健康的であるとの背景はあるが、我が国の高齢化の根本は医療技術の発達である。

疾患や疾病、脳卒中など以前であれば、亡くなるケースに至るような事象でも、

医療技術の発達により生命維持が可能となっている。

しかしそれは同時に五体満足な心身機能ではない状態で、生活を継続するという逆説的な意味を持つ。

身体の機能低下なら、資産の使用用途や処理の判断は問題ないが

認知症など知的判断に障害が出た場合

金融資産などの処理は本人の判断のみでは事実上不可能になる。

事実上、認知症の方の資産は、他の家族がその対処をしない限り、

そのまま預貯金で終生を終える可能性が高い。

そしてその資産は遺産相続へと移行するのがほとんどである。

しかし本人が使わずじまいのまま、死亡するまで口座に保管するというのは、

経済的にとっても本人のQOLの面から見ても、マイナスな選択肢と言わざる負えない。

この問題はこれからもっと社会的な対応を余儀なくされる問題である。

恐らくこれから取り沙汰されても、

マスコミなどの報道では「家族のサポート」や「周囲の意識の問題」など抽象的な概念で

まとめることが多いと推測されるが、

私の個人的な見地ではこの解決策は一つしかない、

「成年後見制度の変革」である。

現状の我が国は介護と「家」の分離が起こっている。

昭和期では「介護は家族でする」というのが社会的通念であったが

現在は「介護は家庭だけでなく、施設やサービスで」というのが現実だろう。

成年後見制度は2000年介護保険施行とともに導入される。

判断能力のない個人に対し法的な権威を背景にサポートするのが成年後見人である。

この問題の打開策として、現実的には成年後見制度の変革でのみしか対応できないと考える。

これからの日本は「成年後見制度」をどのように活用していくかがカギとなると推測される。

カブックスの在校生の方も「成年後見制度」のことを学んでおいた方が

今後の状況打破のためには有効な手段だと言える。

機会があれば、成年後見人制度について、

具体的にかつどのように利用していくのか、通信にも載せたいと考えています。


それでは週末皆さん頑張っていきましょう。